ストーリー Story 

 織る Weaving
タイ東北部イサン地方の小さな村で昔ながらの田植えが始まった。食べるものを自分たちの
手で育て、着るものを母が織り上げ、家をみんなで建てる。そんな素朴な暮らしが何代も
続いてきた村も電柱が経ち始めたころから変わり始める。服を作る文化もこの村から途絶え
ようとしていた時、伝統文化の復興を支援するボランティアグループが活動を開始する。
そんな時、ブリュッセルでオートクチュールを手がけていた一人の日本人がこの地を訪れる。
服飾デザイナー さとう うさぶろう。
彼がこの村にやってきたのは、ある声に導かれてだった。

 生きる Living
優秀な外科医として病院でがんなどの患者を診て来た医師 船戸崇史。しかし、なんど切り
除いても再発する患者の多いことから、自分のメスではガンに勝てないと悟り、せめて在宅
で最後を看取るお手伝いが出来たらと、病院を去り、西洋医学のみではなく、東洋医学や
補完代替医療等を取り入れたクリニックを開業する。
イサンで染められた’いのちのやどる’服の愛用者でもある彼は、毎年末期がんを患う人たちを
連れ気功ツアーに出かける。第10回目の行先は石垣島。

大地 Earth
農業を営みながら歌手を続けるYae。彼女は、母 加藤登紀子の影響もあり、若くして大手
レコード会社と契約するが、歌うことを通し社会に貢献したいという理由からレコード会社
との契約をやめ、独自のライブ活動をはじめる。彼女の父は学生運動指導者で後に有機農法
実践家になった藤本敏夫。その父が 残した「鴨川自然王国」には毎年、援農に多くの人が
訪れる。ここで彼女は未来の夫となる 男性と出会う。そしてそのウエディングドレスは
タイで織られた’いのちを感じる’服だった。
彼女は語る。「私たちは、土、水、空気、太陽のめぐみで生かされているんです・・・」

 始まり Beginning
うさぶろう、船戸医師、Yaeが一堂に会する機会が訪れる。
”いのちの息吹にあふれた”服のファッションショーが
船戸クリニックで開催されることが決まり、準備のためにボランティアたちの奔走が ;・
はじまる。モデルは医師や看護婦、患者、そしてガンで大切な人を亡くした家族。
やがて、ショーの当日がやってくる・・・。